瓦工事に使用するその他の材料4
棟芯木
 
 現場レベルで、棟部に芯木を使用する工法が一般的になったのは比較的最近のことと思います。洋瓦のように、棟を高く積まない施工(丸瓦伏せとか冠納めと呼びます)で比較的早くに普及しました。工法の概略は、棟芯に910mm間隔程度で棟金具を取り付け、そこに40mm角前後の木材を棟芯にそって取り付けます。そこに丸瓦や冠瓦を被せて木材当てにビスを使用して止め付けるものです。平瓦と棟瓦の隙間は事前にモルタルなど湿式材料で埋めておきます。
 従来工法は、湿式材料と銅線だけで止めるものでしたから、芯木とビスを使った方法は、棟瓦の固定力を大幅に向上させました。
 和瓦の場合、棟にのし瓦を数段積んで納めますが、「ガイドライン」では、この場合もやはり芯木を使う施工例を提示しております。しかし、実際の施工現場レベルでは、このような工法はまだまだ普及していないと思われます。
 当社の耐震棟工法は、「ガイドライン」の例示工法を、当社なりに改良したもので、芯木は樹脂製品を使用しております。
 寒冷地では、棟納め用の湿式材料はセメントモルタルを使用するのが一般的ですが、芯木はその中に埋め込むことになるので、長期的に見て腐食が心配されます。前述の通り、原則として当社では防腐処理薬剤の塗装品もしくは注入材は使用しないことにしております。したがって残る材質として樹脂製品を使用することになりました。
 棟施工法の詳細については「施工マニュアリング」を参照願います。
  1. VI.湿式材料
 棟・壁際を納める時に使用します。平瓦の形状はF形を除いて山と谷がありますから、棟・壁際部は谷部分を埋めて平らにしないと、のし瓦や棟瓦を納めることができません。この「平らにする」工程を当社では「台面取り」と呼んでます。台面を取ることによって平瓦とのし瓦もしくは棟瓦との隙間が埋まり、かつ安定した納まりとなります。
 一般住宅の棟・壁際に使用する湿式材料は、大きく分けて、南蛮漆喰とセメントモルタルがあります。一般的には南蛮漆喰を使用し、寒冷地においては凍害を避ける配慮からセメントモルタルを使用する傾向があります。
 当社の工事エリアである岩手県はまさに寒冷地であり、当社も含め県内の瓦工事店は筆者の知る限りではどこもセメントモルタルを使用しております。
 工事現場に小型ミキサーを持ち込み、普通ポルトラントセメント、川砂、さらに瓦用の棟土として市販されている配合土を混ぜて、水を入れ、練って使用します。
 このようなやり方をしているのは、東北でも一部の地域で、全国的に見れば少数派のようです。また、南蛮漆喰とセメントモルタルでは使用するコテも違いますし、扱う技能(コツ)も違います。普段南蛮漆喰を使っている職人はセメントモルタルを扱えませんし、その逆もあります。
 以前は、南蛮漆喰でもセメントモルタルでも職人は現場にミキサーを持ち込んで練っておりました。しかし、袋の入った棟用配合土が発売されてから、一気にそちらに移行したようです。確かに現場でミキサー練りする必要がありませんので大幅な省力化になったのでしょう。
当社の考えとしては、やはり湿式材料は現場でその地域の気候にあった配合を行い、手間がかかってもミキサーで練り直すという工程を省くべきではない、と思います。
 建築全般に言えることですが、新しいことを行った場合、その結果がすぐには出ません。棟土の配合は、特に気を使う分野です。当社も10年程前まで、棟土はセメントと川砂だけでしたが、棟用配合土を混ぜることで施工性と防水性が向上すると考え、配合比を変えて何種類か練った塊を1年間曝露試験を行い、耐候性・耐久性を確認した上で現在の配合を決定しました。
Chapter  9
実戦! 屋根の知識
本当に知りたい事は、現場にあります。〜これが瓦の最新リアルレポート〜