改憲国民投票法案情報センター
 
 
【民放労連】http://www.minpororen.jp/
 
◎国民投票法案の強行採決に抗議する声明(2007年4月12日)
2007年4月12日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会
 
 自民・公明の与党は本日、衆院憲法調査特別委員会において、改憲の手続きを定める国民投票法案の修正案を強行採決した。中央・地方の公聴会で、さまざまな立場の公述人が一致して「拙速な審議は避けるべき」と訴えていたことも無視して、乱暴な採決により強引に審議を終わらせてしまったことに対し、怒りをもって抗議する。
 
 修正法案の内容は到底認められない。法案では、改憲案が発議されると国会議員で構成する「広報協議会」を設置し、改憲案について放送、新聞などを通じて国民に広報することにしている。その際、改憲案に賛成・反対の意見広告を放送や新聞に無料でおこなえるのは「政党等」に限定されている。これでは国民のあらゆる層の意見表明、とりわけ少数意見を表明する機会を奪うことになり、権力が憲法改定を実現するために自らに都合よくメディアを利用することになる。
 
 また、テレビ等の有料意見広告についても「投票期日前2週間は禁止」とされているが、その禁止期間の合理性について何の説明もない。広告の法的規制は「表現の自由」の根幹に関わる非常に重要な問題であり、国民各層にわたる時間をかけた慎重な審議こそが求められる。
 
 最低投票率に定めがないのも甚だ問題である。国のあり方を示す憲法の改定には、本来、でき得る限り多くの民意を問うことが必要であり、投票率の如何によらず「その過半数の賛成」を以て可能とするのは、改定の要件を定めた憲法96条の精神を踏みにじるものである。
 
 さらに、国民投票運動における公務員・教育者の「地位利用」禁止規定も、何が「地位利用」にあたるのか、いかようにも拡大解釈され、改憲という、意見表明の自由をもっとも保障されるべき機会を多くの人から奪うことにつながる。このほか、発議から投票までの期間が最短では60日と国民的な議論を喚起するにはあまりにも短か過ぎることなど、多くの問題点について、審議の過程で検討が尽くされたとは到底思えない。
 
 このように議論のまったく不十分な法案を、今国会で是非にも成立させなければならない理由は何ら見当たらない。世論調査やアンケート結果を見ても、国民の間では国民投票法案の早期成立を求める声はほとんどなく、法案の内容さえ浸透しているとは言いがたい状況にある。
 
 憲法の改定は国民主権の原則に立って可能な限り民意を正確に反映できる形で行われるべきであり、政府や政党の思惑によってその手続きを定める法案を拙速に成立させてしまうことは必ず将来に大きな禍根を残す。この国民投票法案は徹底審議の上でいったん廃案にし、そのうえで憲法改定の必要性とそれにともなう国民投票のありかたをめぐって広く議論しなおすべきであることを、強く訴える。
 
以 上
 
◎民放労連からのメッセージ : 国民投票法案を廃案にするために(2007年3月18日)
国民投票法案を廃案にするために
 法案の問題点と当面の取り組みについて
 
2007年3月18日
民放労連中央執行委員会
 
 安倍首相は現在開催中の通常国会の最優先課題は国民投票法案であるとして、5月3日の憲法記念日までに法案を成立させる方針を繰り返し表明してきました。統一地方選挙が迫っていることもあり、衆院の強行通過には与党内でも異論があると伝えられ、当初の思惑通り国会審議が進められるかどうかは微妙な情勢ですが、この法案を最重点に位置づける安倍政権の方針には変化はありません。
一方、国民投票法案の抱える危険な問題点については必ずしも国民の周知するところとなっていません。マスコミ等の報道も、国会情勢と与党と民主党の選挙がらみの駆け引きなどに報道が偏り、法案の内容そのものについては十分に紹介されていません。
 民放労連は昨年来、この法案の持つ危険な本質、とりわけ放送メディアが改憲に動員される危険について注意を喚起し、昨年末闘争や今春闘では法案反対の統一スト権の確立を提起しています。
春闘の本番を迎え、あらためて法案の問題点を整理し、各組合の積極的な取り組みを提起します。
 
●「国民投票法案」は「改憲手続始動法案」
 改憲のために作成、国会提出されたことは明白
憲法改正するには国民投票が必要であることは憲法96条で定められており、その手続きを定めないことは立法=国会の不作為(あえて積極的に動こうとしないこと)となるという説明が、国民投票法案が作成、上程された際から繰り返しなされています。では、現憲法が施行されて以来、60年間にわたって国会は不作為を続け、国民に対する義務を怠ってきたのでしょうか。大多数の国民は改憲の必要性を認めておらず、だからこそ手続き法の制定を求めることもなかったのです。
今回、はじめて国民投票法案が国会に持ち出された背景には、憲法改定の作業を開始したいという意図があることは誰の眼にも明らかです。現に、法案には成立後、憲法改定案を審議できる「憲法審査会」が常設の機関として設置されることが定められています。国民投票の手続きを決めるだけなら、法案とセットで「憲法審査会」の設置を盛り込む必要はありません。
なお、与党と民主党が進めている法案の修正協議ではこうした批判をかわすため、成立から3年後とされる法の施行まで、審査会での改定原案の審議は凍結するとしています。しかし憲法審査会そのものは同時に行なわれる国会法の改正によって、法案成立後の次の国会から設置されます。改憲のための調査は凍結されるわけではないので、調査を名目に改憲のための議論を審査会で進めていくことが可能になります。
調査のためだけなら、現に衆参両院に憲法調査特別委員会が設置されています。あるいは改憲案が今後提出されたときに改憲案審議のための特別委員会を設置すればすむことであり、手続き法の制定と同時に憲法審査会を設置しなければならない必然性はいずれにしてもありません。
そもそも日本国憲法は、たびたび改憲することを予定していない「硬性憲法」であるとされています。だからこそ国会の両院で三分の二以上の賛成で始めて発議されたうえに、国民の過半数の賛成を改定要件として求めています。国民が自ら意思決定を下すための国民投票のルールを、国会議員のみが専断して短期間で決定することが本来許されるのでしょうか。もしこの法律が今、本当に必要とされているのなら、手続き法の制定方法をはじめ、国民に広く国民投票のあり方について国民の議論を深め、意見を求めていくことこそが国会や政党には要請されています。政権が狙うような、拙速に法案の成立を強行することは決して許されません。
 
●山積する法案の問題点
当面、拙速な法案成立を阻止することが私たちの最大の課題です。そのためにも現法案には次のような問題点が山積していることを周知させていく取り組みが重要です。
 
1.短か過ぎる発議から投票までの周知機関
法案は与党案、民主党案ともに、国会による発議から国民投票までの周知機関を「60日 180日」としています。憲法の改定は他の法律と異なり、唯一国民に直接意思を問う重大事です。改憲案の内容を周知させ、国民の間で十分な議論がおこない、その是非について国民の一人ひとりが意思決定をするために、最短で60日間というのはあまりにも短すぎます。
スペインやスウェーデンの改憲手続きには「熟慮期間」をおいていることを引いて、改憲がどのような帰結をもたらすかじっくりと検討するためには、発議から二年以上の冷却期間が必要との意見もあります。
 
2.「関連する事項ごとに区分」しておこなう投票方式
与党案、民主党案ともに国民投票の際の賛否の記載は「関連する事項ごとに区分しておこなう」とされています。しかし、「関連する事項」を誰がどのように決定するのかが大きな問題です。最大の争点となっている9条改定においても、「自衛軍」の創設には賛成だが、海外派兵を可能にすることは反対だという立場の人も存在します。賛否は各項目ごとに問う以外にありません。それではあまりに煩雑過ぎるという意見もありますが、そもそも煩雑すぎて国民が賛否を示すのに困るような改憲はおこなうべきではありません。
 
3.最低投票率の規定がない
  法案には最低投票率の定めがありません。そのために、もし国民投票の投票率が40%であれば、民主党案の「投票総数の過半数」でも20%強の賛成で改憲が成立することになります。与党案では棄権や白票はカウントすらしないことになっており、さらに少ない賛成で成立します。大多数の人が無関心、あるいは意見を決定できないような状況では、改憲を強行すべきではありません。
 
4.国会議員が発議した改憲案を国会議員だけで広報する「広報協議会」
  法案では改憲の発議がなされた際に国民への広報をおこなう広報協議会を国会議員のみで構成することになっています。国会が三分の二以上の賛成で発議した改憲案についての情報の流通を国会議員だけで構成する協議会で管理することは、公権力による情報コントロールとなる可能性もあります。しかもこの協議会は、国会の現有議席数に比例して配分されることになっており、構成メンバーの大半が改憲支持派となることは確実です。国民投票のための公報を出す「協議会」には第三者性を確保することが必要です。
  
5.公務員・教育者の「地位利用」禁止
  法案では公務員や教育者の「地位を利用」した運動を禁止しています。公務員などの「中立性」を理由にして選挙運動を禁止した公職選挙法の規定をそのまま持ち込んだためですが、特定の個人を選ぶ選挙と憲法改定の是非を問う国民投票とはまったく次元が異なります。国民の「表現の自由」は国民投票においてこそ最大限に保障されなければなりません。当初案にあった「地位利用」に「罰則」を課す規定は削除される方向と言われていますが、禁止規定がある限り刑事罰はなくとも行政処分をおこなうことは可能です。大学教授が改憲案について授業でコメントしただけで、処分されるということもありえます。
 
6.政党等への「無料」広告
  広報協議会によっておこなわれる広報は「政党等」に限定されており、当初案では政党のみ、修正されても政党の推薦する団体に限って公報に掲載されたり、放送や新聞での無料広告をおこなうことができるとされています。国民が広く意見を出し合うことこそが必要な国民投票において、政党にのみ意見広告が税金によって保証されることに根拠はありません。基本的に政党のみによって構成される国会で発議された改憲案への意見表明が、政党の介在抜きにはおこなえないのであれば、最終的に国民が直接に決定しなければならないという国民投票の意義を軽んじるものといえます。
 
7.国民投票運動を萎縮させる「買収罪」規定
  与党案では多数の投票人に対し、買収や利害誘導したものに罰則規定が設けられています。そもそも選挙ではないのに「買収」するケースがありうるのか疑問ですが、「利害誘導」が拡大解釈される危険が大きく、市民団体に割安の料金で意見広告を掲載させたり、芸能人が運動支援のために低額でコンサートを実施するケースも「利害誘導」として取り調べの対象となることも危惧されます。
 
8.テレビ・ラジオの投票7日前からの意見広告の禁止
法案の当初案では投票の「7日前」から、放送での有料意見広告を禁止しています。与党の修正案では「14日前」からに拡大する方向と伝えられますが、なんらかの禁止規定が残ることがほぼ確実になっています。逆に言うと、それまでの有料広告は原則として自由におこなわれるとの根拠を与えたものとも受け止められかねません。
  なぜテレビ・ラジオの有料広告だけが法律で禁止されるのか、なぜ国民の意見広告は禁止しながら、一方で政党など国家権力お墨付きの意見広告だけを国費で放送するのかなど、この規定には大きな問題があります。
  テレビの現状に対する国民の不信は根強く、テレビの意見広告は全面的に禁止するしかないという声が強いのは事実ですが、いずれにせよ、放送メディアには政治的に公平であることが課せられており、たとえ有料意見広告を一定期間禁止する法案が成立するとしても、出稿要請があったCMが国民投票に関わる意見広告に該当するのかどうか、禁止前の広告の取り扱いには政治的公平をどう確保するのかなど、放送局側の自主的なルールによる公正・公平な対応がなければ国民の納得は得られません。また憲法を改定するという国民の重大な関心事について、公正・公平な取り扱いがおこなわれているかや、寄せられる苦情にきちんと対応するために、第三者機関を設置することも今後真剣に検討されるべきです。
視聴者、国民のメディア不信を払拭し、国家権力によるメディアへの規制を排除して自律と独立を確保するためにも、放送メディア自らが自主的な対応策を早急に確立することが強く求められています。
 
●廃案に追い込むための当面の取り組み
 ・団体交渉において国民投票法案への放送事業者としての見解を問い質し、反対の立場を明らかにさせる。
 ・自社番組において、法案の内容や問題点をていねいに報道していくことを求める。
 
 ・国民投票時の有料意見広告について、公正・公平なルールの確立を求める。
 ・法案が改憲の一里塚にほかならないことを組合員や放送労働者に広く情宣する。
 ・単組や地連単位で、法案についての学習会を開催する。
 ・法案に反対するMICや地元のマスコミ共闘などとの共同行動に積極的に参加する。
 
 ・放送メディアを改憲に動員する危険な法案であることを地域の労働組合や市民運動団体に広く訴える。
以  上
 
【新聞労連】憲法メディアフォーラム
 
【日本新聞協会】
平成19年1月25日
 
 
衆議院日本国憲法に関する調査特別委員会
 委員長
   中山  太郎  殿
 
社団法人日本新聞協会
会長 北村 正任
 
 
「憲法改正に関する国民投票法案」に対する意見
 
 当協会(全国の新聞・通信・放送138社で構成)は、現在、貴調査特別委員会で審議されている国民投票法案に対し、以下のとおり意見を申し述べます。
 
 当協会は、昨年4月27日に開かれた貴調査特別委員会で、国民投票制度とメディアの関係をめぐり「原則として広告についても、自由な意見表明、情報流通を阻害するような規制には反対である」旨を表明し、その後、与党と民主党がそれぞれ衆議院に提出した「憲法改正に関する国民投票法案」に対しても、11月30日に衆議院事務局に同様の意見を再度伝えました。当協会は、広告も表現の一形態であるとの立場から、新聞に対するあらゆる法規制に強く反対するものであります。
 
 12月14日に開かれた貴調査特別委員会で、与党および民主党からそれぞれ「憲法改正に関する国民投票法案」の修正案(要綱)が示されました。与党案では「一般放送事業者等及び新聞社は、国民投票運動のための広告を放送し、又は掲載するに当たっては、料金その他の条件について、憲法改正案に対する賛成の広告又は反対の広告のいずれであっても同等のものとするよう、配慮するものとする」との修正案が、民主党案では「新聞の無料広告枠の規定は、国民投票広報協議会が行う『国民投票公報』で代替できることから削除したい」旨の修正案が表明されました。いずれも新聞の意見広告に関して、原案を変更する内容となっており、当協会が主張してきた「自由な意見表明、情報流通を阻害するような規制には反対である」という趣旨に照らし、決して看過できるものではありません。
 
 憲法改正案への賛否に関する政党等の広告の扱い、実際の運用にあたっては、法による規制ではなく、各新聞社が長期にわたり培ってきた自主的な基準や判断に任せるべきだと考えます。限られた紙幅・発行頻度で、憲法改正案に対する賛否の意見広告の外形的条件を完全に同等とすることは、現実には不可能ですが、それでも限りなく同等に近づけることは、新聞社の可及的努力によるところが大きいと思われます。「配慮規定」といえども、法的な規制を設けることは、広告を掲載する新聞社を委縮させ、ひいては主権者である国民が公正に判断するための手段を損なうことになります。
 
 一方、無料広告枠の対象から新聞を外すという民主党の考えは、憲法改正論議の進め方そのものにかかわる重要な問題であります。自由で多様な憲法改正論議を保障するという観点なしに、広く国民的な関心のもとに公正な判断が下されることはあり得ません。
 
 当協会が実施した「2005年全国メディア・接触評価調査」によれば、新聞に接触している人の割合は9割を超えており、メディア環境が大きく変化している現在でも、新聞が日常生活に欠かせない基幹メディアであることが分かります。全国に張り巡らされた戸別配達網を通じて、日本の新聞は各家庭に深く浸透し、政治・社会・生活などあらゆる分野で、国民が主体的な判断を行うために必要な情報を提供しています。民主党の、新聞広告は有料(私費)のみとする考えは、政党等の資金量の多寡が新聞広告量に直接反映することを意味し、言論の多様性を軽視して国民の公平・公正な判断の機会を奪うことにほかなりません。
 
 今後の貴調査特別委員会での法案審議にあたっては、国民の知る権利に奉仕し、国民に多様な情報を公正に提供するという点から、十分な審議が行われることを強く要望いたします。
 
以   上
 
 
2007年5月3日 0:22
マスコミ関連団体の声明