絵本をつくる「一枚の絵」
 
えほんミュージアム清里 小山 和也
えほんミュージアム清里
 
 最終的な形は「絵本」だけれども、文章とともに絵本をつくる絵はまた、「一枚の絵」としてもすばらしい。えほんミュージアム清里では、そんな絵本の原画を紹介している。館内に展示された原画が、印刷されたものより迫力をもって、色も鮮やかに感じられるのは、照明のせいだろうか。添えられたストーリーを読み、原画を見ながら「絵本を読む」とは、なんとぜいたくなことだろうと、手前味噌であるが思う。
 いろいろな絵本作家がいて、いろいろな作品があることを知るのは楽しい。世界約40か国で翻訳されるロングセラーの絵本がある。線は点をつなぐようにして丹念に描かれ、ひとつの場面のために、時に100枚の下絵を描くこともあるという。絵を描くときは、椅子に座らず、必ず立ったまま描くという絵本作家がいる。彼の絵に対するひたむきさが伝わってくる。「描くときは空から始める」という画家の描く空は、実際にはないはずなのに、どこかに存在するような不思議な風景のなかにあって、なるほどとくに印象的だ。東洋的な雰囲気のする絵を描くイギリスの絵本作家は、子どもの頃、アジアに暮らしていた。彼はアニメーション・スタジオに籍を置きながら、47歳という早く、惜しまれる死を迎えるまでに、およそ20年間で48冊の絵本を残した。展示会が始まるたびに、こうしてひとつずつ、また新たな絵本作家や作品との出会いがある。
 絵本の世界を楽しんだあとは、目の前に緑の広がるテラスで、ゆっくりとした気持ちのいい時を過ごしていただけたら嬉しい。夏の休日、高原はにぎわう。いらっしゃれるならば平日をおすすめしたい。運が良ければ、美術館とテラスを独り占めすることもできる。