獣医師が避妊や去勢をすすめる理由として不幸な命を増やさないというだけでなく、もう一つ大事なことがある。それは病気の予防という面だ。雌犬では子宮蓄膿症という病気(子宮に膿がたまってしまう病気)が多いし、乳腺の腫瘍も多い。子宮蓄膿症は避妊手術で子宮ごととってしまえばなることはないし、乳腺腫瘍も生後1年以内位に避妊をしている犬は、そうでない犬に比べて発生率は10分の1くらいにさがる。雄であれば前立腺の病気や肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなどの発生がへるし、こういう病気になった時は通常治療の一環として去勢することが多い。雌でも雄でもここにあげたような病気は、多くは高齢になってから発病する。そして手術が必要になることが多いが、高齢でかなり弱っていれば手術のリスクは高くなる。健康な若いうちにそのリスクを減らしてしまおうということだ。避妊や去勢のデメリットはなにかというと、少し太りやすくなるくらいである。よく雄犬を去勢すると弱くなるからという人がいるが、医学的根拠はない。ただし攻撃性とかが減っておとなしくはなるかもしれない。
 最近ペットの寿命はどんどん伸びている。それにともなってペットの老齢病も増えている。それらの多くは防ぐことは難しいが、防げるものは防ぎたいと思うのである。
2005.7月号 青山動物病院 青山院長 〜青山先生の診察室から5〜
すすめる理由