福翁自伝(岩波文庫)によると、福沢家が借金の返済のために、家にある一切の物を売却するということになったそうです。儒教の学者である荻生徂徠、伊藤東涯の書もありました。それら蔵書の中に、伊藤東涯が自筆で書き入れした見事な易経あったそうです。諭吉の父が、この本は大変珍重したそうで、合理主義者である諭吉もこの易経は売ることが出来なかったそうです。また、儒教批判を行った諭吉ですが、実は福翁自伝を書いている時点でもこの易経は所有していたそうです。
日本の近代化を進めた人々は、私塾で漢文を勉強しています。当然経書の初めには易経がきますので易を学びます。福沢諭吉も当然漢文を勉強しています。易経は修身の書ともいわれています。当時勉強した人々に与えた影響は大きかったはずです。歴史の表面には現われては来ませんが、 日本の近代化の根底に易の思想は流れていると私は考えます。