Ripresa Ⅱ期1号 winter2009/2010

口絵−バングラディシユ「砒素に侵される大地」 写真・文 塩田亮吾

発刊の辞●小田原紀雄

巻頭言●小島四郎

民主党は何処に行くの 〜脱安保・脱米姿勢の本質を斬る〜●頼締厚

北東アジアの行方 朝鮮半島情勢を中心に●森善宣

レバレッジ社会における経済危機●東浩一郎

市民右翼との遭遇と、その後●矢部史郎

解雇撤回させ、組合への賠償を勝ち取る●佐藤和友

【特集】ポスト・ユートピア

ポスト・ユートピア●友常勉

著者インタヴユー 鎌田 慧さんに聞く

『橋の上の「殺意」−畠山鈴香はどう裁かれたか』●小田原琳+友常勉

レディオヘッド「Zude」が提示するもの●斉藤一清

同志たちの愛のあと 創設フィクションとしてのキューバ革命●田沼幸子

コスタリカにおけるDV(ドメスティック・バイオレンス)●杉下由紀子

【連載】

ハチドリ通信mクアドループ、マルティニツク、レユニオンの社会運動●中村隆之

「おむつなし育児」論−〈身体〉をとりもどすためのミクロロジー●小田原滞

所栓・「旅人」 Ⅱ その①再び、大プリア・カーン寺院へ〜CAMBODIA〜●土方美雄                                                                                                                                                                                    農−創る その①●新居崎邦明

句選 ちんちろりん●大道寺将司

旬評〈俳句とは何か〉への開いかけ−大道寺将司「ちんちろりん」鑑賞●上野一孝

獄中雑記帳(一)●益永利明

続「刑−法」の力 (1)◆反テロ刑法というテロ″の偽装●宮本弘典紬

イスラエルと友好のポリテイクス●ジョセフ・マサド 中野真紀子[訳]

転向諭●撮津正

【書評】

岡村春彦著『自由人佐野碩の生涯』●吉川恵美子

解体新書①小沢一郎は鞍馬天狗か?●中西昭雄

大野のり子著・写真『記憶にであう−中国黄土高原紅葉がみのる村から』●小田原紀雄

【展覧会評】

「ルイス・バラガン邸をたずねる」展中南米/アジア万華鏡●土方美雄

表紙写真 大島俊一 カンボジアの正月


 

二期1号

 巻頭言

『リプレーザ』創刊号が発刊された2006年の夏、パレスチナ・ガザはイスラエルの激しい攻撃を受けていた。市民と民生施設を殺戮し破壊しきるまでのジェノサイドであった。これに対して私(たち)は抗議の声を上げ、ガザ市民への連帯を表明した。しかし08年末から翌年初にかけて、イスラエルはまたしてもガザに大規模な攻撃を仕掛け、多くの市民・建物を破壊した。イスラエルはかつてのナチと同様にガザ市を収容所化し、パレスチナ・ガザ市民の生殺与奪権を独占している。更に今日では、イスラエルはガザだけでなくパレスチナ全体を塀で囲んで収容所にしようと試みている。勿論、ガザ市民がイスラエルの前に屈服する事はない。イスラエルに、アガンベンの言う「ホモ・サケル」的存在へと追い詰められても、生き抜く強い意志を持っている。私的な生と政治的実存の区別がない世界に、踏みとどまっている。ガザでの出来事は、チェチェンで、アチェで、ファルージャでも起きている。世界各地で起きている。余りに多くの人々が法の例外的処置の下に置かれている。世界史の闇の部分として常に存在した「剥き出しの生」(ベンヤミン)は、米国の帝国化と新自由主義の世界の席捲によって生産過剰となり、地表へと露出しているのである。国連を始め国際政治の諸装置は無様な動きをするだけだ。イスラエルを、あるいはロシアを、あるいは米国を非難しても、彼らの暴虐を実際に阻止しようとはしない。口先だけの音声機械である。09年11月8日の沖縄県民集会がつき出した本土への不信と期待は、50年以上に亘り私(たち)が沖縄の人々をホモ・サケル化してきたことの告発であった。06年、あの夏の日々の屈辱、無力感に囚われた自身を捨てねばならない。「生政治」(フーコー)に終止符を打たねばならない、このような支配構造を根底から変えていくことなしに、ガザ市民の未来はないし、沖縄の人々の解放もないし、アイヌ民族の自立もないし、「剥き出しの生」の全世界的解放もない。・・・・

小島 四郎