2008
2008
初めてA-UNから委嘱の話があったとき最初に考えたのは、“内面に踏み込むものを作りたい”ということでした。
本来当然とも言えることなのですが、残念ながら打楽器アンサンブルの作品には、素材の特殊性に頼っただけの曲やリズム遊びの域を出ないようなもの、内容を問うに値しない作品も多いのが現状です。
それは打楽器の特質とも関係あるのですが、もし打楽器アンサンブルを音楽の一ジャンルとして定着させていきたいのであれば、キワモノに留まっていてはだめでしょう。見たことのない楽器も次には見たことのある楽器になってしまうのです。演奏するたび、聴く度に何かを見出だせる奥行のある作品でなければ、演奏者にも聴衆にとっても“音楽作品”としての価値はありません。
自分にそれだけの物が書ける力量があるとも思えない。そんなこと、この生のうちには無理かもしれない。でも、自分がそれを試みることが問題提起になって、あるいは直接でなくてもどこかで繋がって、いつかいい曲が生まれるかもしれない。小さな波紋しか起こせなくても、自分が持ち上げられる精一杯大きな石を投げてみようと思ったのです。
第39章
09/04/15
横田 大司 (よこた だいじ)
武蔵野音楽大学器楽科卒業。フリーの打楽器奏者としてオーケストラ、室内楽、ソロ等で活動。東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団のヨーロッパ公演に参加。打楽器アンサンブル“パーカッション・ミュージアム”メンバーとして、各地での公演、CD録音に参加。
打楽器、室内楽を中心に、作編曲の活動を行っている。主な作品として「混在」「隔てられた三景」「猫のいる部屋」「箒と秘薬」(A−UN委嘱作品)「音楽物語 芋掘り藤五郎」など。また演劇のための音楽制作にも携わっている