光源氏をとりまく人々 桐壺〜葵


光源氏 源氏物語の中心人物。桐壷帝と桐壷更衣の間に生まれたおぼっちゃま。しかし、3歳の時母を、6歳のとき祖母を亡くし、肉親との縁は薄い。皇子だが、元服と同時に臣籍に下り、源氏姓を名乗る。その美貌から光君と呼ばれ、学問、音楽、絵、何でもこなすスーパーヒーローで、モテモテ男。でも、中年以降はその運命にかげりが…。


〈光源氏の両親〉

桐壷帝 光源氏の父帝。桐壷更衣との間に光源氏を設けるが、そのなりふり構わぬ寵愛ぶりに世間は非難を浴びせる。一方、弘徽殿女御との間には後の朱雀帝となる第一皇子がいる。桐壷更衣亡きあと桐壷更衣によく似た藤壺女御を後宮に迎える。彼女には第10皇子が生まれるが…。 


桐壷更衣 光源氏の母。故按察使大納言の娘で、その遺言にしたがって入内するが、身分も低く、父のバックアップもない身で、後宮では桐壷帝以外頼るものがない。帝の愛を一身に集めるが、そのために後宮の女性たちにねたまれ、いびられて心労のため早世した。


〈光源氏が愛した女性たち〉

藤壺中宮 先帝の第4皇女。その美貌は「輝く日の宮」と呼ばれる。源氏は亡き母に似るといわれる彼女を恋慕し、生涯思い続けた。里下がりの折、源氏の求愛を拒みきれず関係、妊娠する。やがて冷泉帝となる息子が生まれるが、彼女はその子の地位を守るため、源氏を拒み続ける。桐壷院の死後は源氏の危険な恋をとどめるため、突然出家。37歳で死去する。 


葵の上 左大臣の娘。兄は頭中将。もともと、帝(つまり朱雀帝ね)のお后候補として育てられていたが、光源氏の元服に際して加冠の役を務めた左大臣の意向で、16歳のとき光源氏の妻となる。源氏より4歳年上。高貴な血筋の正真正銘のお嬢様で、プライド高く源氏とは打ち解けることがなかったが、結婚9年目の春に初めて懐妊。しかし、その年の賀茂の祭の御禊の日、六条御息所との車争いをきっかけに御息所の生き霊に襲われるようになる。ようやく源氏と心通わせ合うようになったが、息子夕霧を出産後、急逝。


紫の上 兵部卿宮の娘で藤壺中宮の姪に当たる。幼少時に母を亡くし、祖母に引き取られていた時、北山で源氏に見いだされる。藤壺中宮によく似た美貌の持ち主。祖母の死後、源氏に引き取られ、理想の女性として教育される。葵の上の死後、源氏との初夜を迎える。以来、正妻格として、源氏の愛を一身に集めるが、この結婚は正式なものではなく、子どももなかったのでその社会的立場は実は不安定なものだった。やがて源氏に女三宮が降嫁、不安が一層募る。出家を求めながら許されることなく他界する。 


空蝉 伊予介の妻。年長の夫が単身赴任中、源氏にレイプされる。その後の誘いには決して乗らず、断固として源氏を拒否し続ける誇り高き中流の女。夫の死後は義理の息子の誘惑をのがれ、出家、源氏の庇護を受ける


軒端荻 伊予介と先妻の娘。空蝉の継娘。色白ムチムチのグラマー娘だがあんまり品はよくない。人違いから源氏と肉体関係を結ぶ。後に蔵人少将と結婚。


夕顔 三位中将の娘。かつては頭中将の愛人で娘までもうけていたが、その正妻(弘徽殿女御の妹さんね)に脅されて、西の京の乳母の家に身を隠していた。その後、五条の家に身を寄せていたときに夕顔の花が縁で光源氏と結ばれる。八月十五夜の一夜、某の院で源氏と過ごした後、物の怪につかれ急死。享年19。


玉鬘 夕顔と頭中将の娘。夕顔の死後乳母とともに太宰府に下る。そこで、大夫監の求愛を受けるが、恐れて京に逃げ帰る。夕顔の侍女との再会をきっかけに光源氏に引き取られ、貴公子たちの注目を集めるが一番きらいだった髭黒の妻となる。


末摘花 物語一のブス。故常陸宮の娘で、琴を友とし、荒れ屋敷に古女房たちと貧しく暮らしている。馬面で鼻が像のように垂れ、おまけにその先は真っ赤っか。やせさらばえて、しかも胴長。歌は詠めない、気は利かない、という三重苦を背負っている。しかし、心根は一途で、源氏もその気持ちに応え、後、厚く世話をする。 


六条御息所 故東宮の妃。20歳で夫と死別し、一人娘を抱えて未亡人となる。当代一の美貌と教養の持ち主で、その家はサロン的存在だった。源氏の熱心な求愛にまけて肉体関係を持つが、その絆は深まらず、源氏の足は遠のく。葵祭の車争いをきっかけに、生き霊が抜け出すようになり葵の上を取り殺す。娘が伊勢の斎宮になったのを口実に、一緒に伊勢に行こうと考えていた矢先のことだった。伊勢での暮らしのあと、都に戻り優雅な日々を送っていたが、病を得て出家、死去する。死後も怨霊として紫の上や女三宮を襲った。


朧月夜の君 右大臣の六女。弘徽殿女御の妹。朱雀帝妃となるはずだったが、花の宴の夜、源氏と出会い結ばれる。この恋愛沙汰から妃にはなれなかったが、尚侍として入内、朱雀帝の寵愛を集める。その一方で源氏との関係も続け、里邸での忍び逢いを父・右大臣に見つかる。朱雀帝出家後、一時源氏とよりを戻すが、後に出家。 


源典侍 桐壷帝に使える女官。身分高く、品と知性と教養を備えた才媛だが根っからの男好きという老女。19歳の光源氏と初めてであったとき、その年齢はなんと57歳。その後も長生きし、源氏の前に姿をあらわす。


〈政敵〉

弘徽殿女御 桐壷帝の妃のひとりで、右大臣の娘。後の朱雀帝となる第一皇子を生むが、桐壷更衣が帝の愛を集めていることから我が子の立太子を危ぶみ、桐壷母子を迫害する典型的な悪役おばさん。桐壷帝の崩御後は朱雀帝を牛耳り源氏追放を画策する。


右大臣 弘徽殿女御、朧月夜の君の父。左大臣、光源氏らの政敵。朱雀帝即位後は専横をほしいままにする。短気で思慮の浅い性格。


〈男性たち〉

頭中将 左大臣の嫡男。葵の上は同腹の妹。源氏の親友として行動をともにする。時には恋人を張り合うこともあった。源氏が須磨に流されたときには身の危険を顧みず見舞いにいったりする男気もある。中年以降は源氏の政敵ともなった。


左大臣 頭中将、葵の上の父。桐壷院の同腹の妹・大宮が妻。桐壷院崩御後、右大臣家の専横に抗議して大臣を辞すが、冷泉帝の即位に際して、光源氏の希望で摂政太政大臣として復帰。


朱雀帝 桐壷帝と弘徽殿女御の第一皇子。源氏より3最年長。優雅で風流な反面、気弱で優柔不断。お后となるはずの朧月夜を光源氏に奪われる。皇位に就いていた時代は、母や祖父・右大臣の言いなりになる。しかし、源氏の須磨からの召還に際しては意見を通した。晩年愛娘の女三宮を源氏に託す。


冷泉帝 桐壷帝の第十皇子。母は藤壺中宮。表面上は源氏の異母弟だが、その実は光源氏と藤壺の不義の子。源氏にうり二つの美貌を持つ。長じて自分の出生の秘密を知り、衝撃を受ける。


夕霧 光源氏と葵の上の息子。意外と教育パパの源氏の方針で、六位の学生として文章道に学ぶ。恋人の雲居雁とは仲を裂かれ、苦労を重ねた末に初恋を実らせる。しかし、中年になって友人の未亡人への恋に走る。


源氏物語は「紫」の物語。背景色は「本紫」です。