第376号  王国を興す    03/01/08
 
    サムエルは民に言った。
    「さあ、ギルガルに行こう。そこで王国を興そう。」
    民は全員でギルガルに向かい、そこでサウルを王として主の御前に立てた。
    それから、和解の献げ物を主の御前にささげ、
    サウルもイスラエルの人々もすべて、大いに喜び祝った。
                  (サムエル記上 11章14〜15節)
 
                Then said Samuel to the people,
                Come, and let us go to Gilgal,
                and renew the kingdom there.
                And all the people went to Gilgal;
                and there they made Saul king before the LORD in Gilgal;
                and there they sacrificed sacrifices of peace offerings
                before the LORD;
                and there Saul and all the men of Israel rejoiced greatly.
                                                                            (1 SAMUEL 11:14〜15 )
 
 
聖書がとても面白い。
物事の本質をジッと考えさせてくれる。
ここでサムエルは「王国を興す」という王政移行の主導的な役割を演じているが、
よく見るとサムエルは「大いに喜び祝った」わけではなかったことがわかる。
彼の心にはきっとこういう聖句に似た気持ちであったであろう。
 
    わが民はともすれば我にはなれんとする心あり
    人これを招きて上に在るものに属(つか)しめんとすれども
    身をおこすもの一人だになし
               (ホセア書 11章7節)
 
目で見たところではサウルは確かに民の誰よりも肩から上の分だけ背がたかく、
民のうちで彼に及ぶものはいないと思えた。民がサウルを初めて見た時に、
とっさに「王様万歳」と喜んで叫んだのであった。
サムエルが神の指示に従って「王の権能」について話した内容はこうであった。
 
 『君臨する王の権能』は次の通りである・・・
   1)あなたたちの息子を徴用する。
   2)あなたたちの娘を徴用する。
   3)あなたたちの最上の畑、ぶどう畑、オリーブ畑を没収する。
   4)あなたたちの奴隷、女奴隷、若者のうちのすぐれた者や、ろばを徴用する。
   5)あなたたちの羊の十分の一を徴収する。
  こうして、あなたたちは王の奴隷となる。
  その日、あなたたちは、自分が選んだ王のゆえに、泣き叫ぶ。
  しかし、主はその日、あなたたちに答えてはくださらない。
 
しかし民はサムエルに向かってこう言い張ったのであった。
 
     いいえ。我々にはどうしても王が必要なのです。
     我々もまた、他のすべての国民と同じようになり、
     王が裁きを行い、王が陣頭に立って進み、
     我々の戦いをたたかうのです。
               (サムエル記上 8章19〜20節)
 
イスラエルの神こそが王でいまし給うというサムエルの信仰がその深いところで
人々のこころに定着していなかった為に、目に見える力である「王の存在」を
求めたのであった。上にある神である主さまに心を寄せてゆくことをサムエルは
切に勧めたのであったが、誰一人その声に聞き従う者はいなかった。
これこそは実に残念なことであったと、聖書が語りかけているように思える。
 
この時までのサムエルの生涯は「祈りの人」としてまっすぐに神と向き合って
生きて来たし、イスラエルの国はなんらの武力もなかったのに、
神の大きな守りを得て、外敵に脅かされることもなかったのであった。
 
    サムエルに時代を通して、主の手はペリシテ人を抑えていた。
               (サムエル記上 7章13節)
 
しかし、ここで状況が一変する。
サウルが王となったとたんに、アンモン人のナハシュが攻めて来た。
いままで現されていた神の様相が、俄然かわって厳しいものとなり、
王として上に立つサウルの行動は人々に戦慄を与えるものとなってゆく。
 
    そこへ、サウルが牛を追って畑から戻って来た。
    彼は尋ねた。「民が泣いているが、何事が起こったのか。」
    彼らはヤベシュの人々の言葉を伝えた。
    それを聞くうちに神の霊がサウルに激しく降った。
    彼は怒りに燃えて、一軛の牛を捕らえ、それを切り裂き、
    使者に持たせて、イスラエル全土に送り、次のように言わせた。
    「サウルとサムエルの後について出陣しない者があれば、
     その者の牛はこのようにされる。」
    民は主への恐れにかられ、一丸となって出陣した。
    サウルがベゼクで彼らを点呼すると、イスラエルが三十万、
    ユダが三万であった。
               (サムエル記上 11章5〜8節)
 
 
 
 
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