第111号  ハンナの祈り    02/01/15
 
    祭司様・・・・
    わたしは、ここであたたのそばに立って主に祈っていた
    あの女です
    わたしはこの子を授かるようにと祈り
    主はわたしが願ったことをかなえてくださいました
    わたしは、この子を主にゆだねます
    この子は生涯、主にゆだねられた者です
               (サムエル記上 1章26〜28節)
 
                And she said, Oh my lord, as thy soul liveth, my lord,
                I am the woman that stood by thee here, praying unto the LORD.
                For this child I prayed;
                and the LORD hath given me my petition which I asked of him:
                Therefore also I have lent him to the LORD;
                as long as he liveth he shall be lent to the LORD.
                                                             ( 1 SAMUEL 1:26〜28 )
 
 
ハンナさん
石女(うまずめ)と陰口をいわれるその苦しみ
夫エルカナに苦しみを訴えても
エルカナのできる事には限りが有る
やさしくしてもらっていることは分かるが
この心の苦しみ悩みは晴れない
世間の陰口だけでなく、敵ペニンナの言葉に含まれた針が胸を刺す
祭りのたびにシロにある神の宮にゆくが・・・
夫エルカナのハンナを愛する気持ちがかえって敵の妬みをあおる
 
ハンナさん
そうだ、活きて働くイスラエルの神に真剣に求めよう
具体的に自分の願いを口にしてみよう
罪のゆえに子が授からぬという汚名をぬぐいたいのだ
それでこう云って、主の聖前にて祈り、祈った
 
  男の子を授けてください
  授かった子、男の子を生涯、神さまにお捧げしますから・・・
 
敵ペニンナの言葉がハンナの胸に去来する
本当にお約束します、どうぞ私のこの願いを聞き届けてください
祭壇に向かって祈るハンナ、時間も忘れて・・・
 
  ああ、イスラエルを今日迄導きたまいし主よ
  何事にても成すを得たもう大能の神エホバよ
  この悲しみ悩む婢女の祈りをきこしめしたまえ
  己の慾のために願っているのではありません
  私のこの心は何をもっても晴れないのです
  私の恥をすすいで下さい、ああ主よ・・・
 
ハンナさん
心の悩みを訴え続けるその姿からは異様な霊気が発散している
この神の宮の祭司エリ先生は
さきほどから座り込んで何やらブツブツつぶやく
この女の様子に尋常ならざるものを感じていたが
その顔色を見、その口の動きを見て
フト、あるいは酒のせいではないか・・・と思った
そういう風に見ると、確かにそう見える
体を揺すりながら、唇からははっきりとした言葉は発せられていない
「酒のみ女」ならば、訓戒が必要だと・・・
祭司エリ先生は思い切って近づき声をかけた
それも幾分、断定的に
 
  いつまで酔っているのか
  酔いをさましてきなさい
 
ハンナさん
自分の前に立つ、祭司エリ先生に驚き、また発せられた言葉に驚いた
とっさに、彼女の口を突いて出たのは・・・
 
  いいえ、祭司様、ちがいます
  わたしは深い悩みを持った女です
  ぶどう酒も強い酒も飲んではおりません
  ただ、主の御前に心からの願いを注ぎ出しておりました
  はしためを堕落した女だと誤解しないでください
  今まで祈っていたのは、訴えたいこと、
  苦しいことが多くあるからです
 
祭司エリはこのはっきりとしたハンナの言葉を聞いて自分の勘違いを
悟り
 
  安心して帰りなさい
  イスラエルの神が
  あなたの乞い願うことをかなえてくださるように
 
と、恵みの言葉、祝福のことばを語ってあげた
 
ハンナさん
喜びが上から与えられた
家族みんなで食事をしたが
もう、こころは晴れ晴れとして
彼女の表情にはすっかり今までの暗い影が去っていた
翌日、早く起きて家族みんなで主の御前で礼拝を捧げ
ラマの自分たちの家に帰って行った
 
ハンナさん
男の子が授かって、ああ嬉しいーーー感謝ですと・・・
その名はサムエル(エホバに聴かる)と名付けた
 
    童子(わらべ)サムエル生長(そだち)ゆきて
    エホバと人とに愛せらる  
               (サムエル前書 2章26節)
 
あの素晴らしいイスラエルの指導者となったサムエル先生
そのサムエルの母、祈りの人、ハンナさんの物語である
 
 
 
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サムエル