子供の脳梗塞 1
子供の脳梗塞の頻度は低く、その基礎疾患には様々な原因が考えられます.再発を予防する意味でも原因検索は重要です.成人に比べて、子供の脳梗塞の頻度は低いですが、非常に珍しいというわけでもありません.MRI, MRを使った血管撮影、CT, CTを使った血管撮影など、非侵襲的な検査をまず行い、必要であればカテーテルによる血管撮影も行います.
成人の脳梗塞との違いは、その頻度だけではなく、その原因の多様性にもあります.正しく基礎疾患を把握しなければ、再発につながるのは言うまでもありませんが、長期にわたり患児を再発の危険に晒すことになります.約1/5の患者さんでその原因は不明と言われていますが、十分な原因の検索は重要です.また、子供の脳梗塞の場合、成人と異なり確立した治療が乏しいことも治療を難しくしていますが、成人での治療法を参考にしながら、子供を治療しているのが現状です.
脳梗塞の原因
心臓疾患
先天性であれ後天性であれ、心臓疾患は、子供の脳梗塞の
大きな原因の一つです.先天性の心臓疾患の治療が早期に
行われるようになり、心臓疾患が原因の子供の脳梗塞は、
近年、非常に減少しています.
動脈解離
大人でもそうですが、子供の動脈解離は、実数より少なく考えられているようです.動脈解離は、外傷が原因の場合もあれば、非外傷性、つまり誘因なく解離する場合もあります.血管解離を起こす外傷は、必ずしも重症の外傷とは限らず、軽微な外傷の場合もあります.椎骨動脈よりも内頚動脈の解離が、また頭蓋内の内頚動脈よりも頚部の内頚動脈の解離の方が多いとされています.臨床像は、外傷性であれ、非外傷であれあまり差はありません.解離直後から症状を出す場合から、数時間後、数日後に症状を出す場合もあり、さらに遅れる場合もあるとされています.
血管炎
子供の頭蓋内の血管炎の原因は多様です.動脈の血栓症、脳内出血、クモ膜下出血、脳静脈洞閉塞などが起こります.細菌性の髄膜炎の頻度が高いとされますが、結核性の髄膜炎による脳梗塞は、成人よりも子供に多いとされています.他に、成人ではしばしば認められる側頭動脈炎や中枢神経系の弧発性血管炎はあまり多くはありません.
水痘・Varicella
varicella zoster virusは、水疱や帯状疱疹の原因のウイルスです.水疱瘡(や帯状疱疹)と子供の脳梗塞は、近年注目されるようになって来ました.報告されているvaricella zoster virusによる子供の脳梗塞は、前方循環(anterior circulation)に起こっており、その多くは基底核に起こっています.また、多くの患者さんは、一回だけ脳梗塞を起こしています.
ある報告では、原因のはっきりしない脳梗塞を起こした11人の子供のうち7人(64%)が、過去9ヶ月以内に水疱に感染していましたが、対照の44人の子供のうち4人(9%)だけが、水疱に感染していました.水疱感染がなぜ脳梗塞を起こすかは、良く分かっていませんが、多くの子供が一過性の動脈症arteriopathyを起こしているのが知られています.
もやもや病
もやもや病は、頭蓋内の内頚動脈の末端における血管症です.進行性の動脈の狭窄・閉塞とそれに伴う側副路の血管拡張が特徴的です.詳しくは、私のホームページをご覧ください.
他の全身疾患
鎌状赤血球症は、欧米では頻度の高い原因のひとつですが、日本ではほとんどありません.また、AIDSが原因で脳梗塞になった報告もあります.
2004.6.7記
