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東北(3日目)
 
この時期、裏磐梯の朝は冷え込む。
キリッと冷えた空気と煙草の煙を胸一杯に吸い込む。
空を覆う雲が流れていき、青空が広がっていく。
裏磐梯YHは、今まで利用したYHの中でも最高の部類。
宿の主人に感謝の意を告げ、8:25 出発。
いきなりの登坂。細野峠までの約10kmは登り続ける。
途中、檜原湖近くの道の駅「裏磐梯」に立ち寄る。
特に用事はないのだが、道の駅を見つけると、つい立ち寄ってしまう。
9:25 峠を越える。ここから下り。
これがもの凄い下り。
5-10%程度の勾配を繰り返しながら、どこまでも下る。一向に終わらない。
体も冷えきっている。あまりの寒さに手足の指先が痺れる。
途中、電光掲示板が気温8℃と伝えている。
どうりで寒いはずだ。
9:50 長い下りが終わり、平地へ。
25分間、ひたすら下ったというのか。
振り返ると、山々が壁のように立ちはだかっている。
9:55 喜多方市入り。
ここから南下し、R49号線を目指す。
先日、食べそびれた喜多方ラーメンに未練はあるが、昼食にはまだ早い。
一路、只見を目指す。
風が強い。周囲を山々に囲まれているため、吹き下ろしの風だろう。
よりによって向かい風。
ここで無駄な体力を使いたくない。
ペースを落とす。
10:50 R49号線に合流。
11:30 R252(沼田街道)に合流。この道を進めば、只見だ。
合流地点に「くさの」という蕎麦屋がある。
時間も丁度良い。ここで食事としよう。
定食もあるようだ。刺身定食でも食べようか。
メニューと料金が書かれた札に、「刺身盛り合せ 時価」と書かれている。
恐る恐る値段を尋ねると、刺身は卸値が高く、今日はやっていないとのこと。
結局、天ぷら定食を注文。
聞くと、漬け物や天ぷら野菜は自家製とのこと。
特に漬け物が旨い。無論、天ぷらも旨い。
思わず、ビールを頼みたくなるが、ぐっと我慢。
ここまでの記録をメモにとり、12:20 出発。
ここから只見まで約63km。
しかし、この沼田街道が予想以上にきつい。
アップダウンをひたすら繰り返す。
登りで張った筋肉が下りでだれる。
直後、登り。また下り。
下りの勢いを借りて、一気に登るには、荷物を積載したランドナーではきつい。
いや、この先、アップダウンがいつまで続くのかわからない以上、体力の消耗は避けたい。
頑張らないように意識しながらペダルを漕ぐ。
今日の宿泊先は、只見の外れにある「森林の分校ふざわ」。
明日は、ここを拠点に「恵みの森」を散策する予定だ。
既に、宿は予約済み。
行かねばならぬ。
今日の走行距離、約130km。
平地なら、たいした距離ではない。
今日、裏磐梯YHを出発して、まず、峠。
今日、宿泊する宿の直前にも、峠が待ち受けている。
沼田街道のアップダウンは、どこまでも続く。
15:40 県道352入口。ここから、松坂峠を越えて、宿まで10数キロ。
もう一踏ん張り。
峠の入口へ向けてペダルを漕ぐ。
しかし、ペダルが重い。力が湧いてこない。
この症状には、憶えがある。
ハンガーノック、すなわちシャリバテの前兆。
自転車を止め、フロントバッグを探る。
こんな時のために、郡山市で栄養食「SOYJOY」を一本、買っておいた。
民家の無い、山の麓。近隣の山中は熊の生息地でもある。
こんな場所で食をとることは避けたいが、やむを得ない。
しばらく休憩し、再び、ペダルを漕ぐ。
うん、これならいける。
松坂峠入口に木の杭が打ち込んであり、そこに手書きで文字が書かれている。
「ここから先、がまん坂」
苦笑。じっくり、腰を据えて登る。
16:40 只見町の看板。峠を越えた。そして下り。
16:50 今夜の宿「森林の分校ふざわ」に到着。
ここは、地元住民の手で廃校を改装し、宿泊施設として生まれ変わった宿。
部屋は元教室。3部屋のみ。各部屋15人くらいは宿泊できるようだ。
一人では広過ぎて、ちと寂しい。
宿を運営しているのは「森林の里応援団」という地元住民の方々。
料金は5,800円。町内にある温泉の無料入湯券も貰える。
宿から温泉まで7,8kmの距離があるのが難点だが。
余計な荷物を宿に置き、早速、温泉に向かう。
この風呂が気持ち良い。
赤茶けた湯は、疲れた体を優しく癒してくれる。
宿に戻って、夕食。
岩魚の塩焼きを頭からがぶりつく。旨い。
岩魚だけではなく、何もかも旨い。
しかし、ボリュームがあって、とても食べきれない。
膨れ上がった腹をさすりながら、校庭へ。
この宿は全館禁煙のため、校庭で煙草を吸う。
考えてみると、学校の校庭で、堂々と煙草を吸うのは始めての経験だ(笑)。
宿を運営している方に、この宿のこと、恵みの森のことを伺う。
松坂峠入口に「がまん坂」と書かれた木の杭があったと話すと、それは、私が書いたのだという。
空は厚い雲に覆われているのだろう。星が見えない。
近くを流れる川のせせらぎだけが、静かに響く夜だった。
 
写真は、五色沼のひとつ毘沙門沼。
 
 
R-D1 M-ROKKOR | 2007/10/19