百三の手習い
 
 もう一週間くらい前のことになるのだけれど、俺もツマも残業で帰りが遅くなり、ぼそぼそと深夜メシを喰いながらテレビをつけたら、NHK総合テレビで、俺が見たかった『NHKスペシャル』の再放送がちょうど始まって、思わず「おっ」と声を上げて喜んでしまった。
 
 認知症や高齢化で、脳機能が低下してしまったお年寄りが、毎日の簡単な計算や漢字読み書きの勉強の繰り返しで、なんと脳機能が回復しはじめてくるんである。
 最初はちょっとしたもの忘れ程度だった症状がどんどん悪化し、今では「箸ばノドに刺して死ぬ」「死なせてください」と呟き続けたり、逆に周囲からの呼びかけにもほとんど反応しないほど無気力に呵まれてしまったおばあちゃんたち。それが、単純なひと桁のたし算引き算等を毎日少しずつ解いていくうちに、明らかに表情が変わってくるのだ。先の、死にたがっていたおばあちゃんなど、離れて暮らしている娘さんに「お待ちしております」とハガキを書くまでに。
 なかでも驚いたのは、いきなり「アイ・アム・ワン・ハンドレッド・スリー・イヤー・オールド!」と英語で話し始めたおばあちゃん(まあ、よく聴いてないと英語に聞こえないってのは仕方ないか)。なんと、98歳から英語を勉強し始めたんだと。いやはや、まだまだ俺達なんてヒヨッコだね、ほんと。
 
 この脳機能の回復は、しっかり実験でも確認されていて、脳の前頭前野という部分の活動が活発になっているのだそうだ。「脳トレ」ですっかり有名になった川島教授が実験成果を説明する内容に、大学病院で現在ちょうど同じ装置を用いて研究実験を行なっているツマもすっかりハマって画面に釘付け。
 人間、何歳になっても勉強が遅過ぎることはない、という事実には、本当に勇気づけられますな。
 
 ところで、番組中で施設に入所しているお年寄りたちが実践していたお勉強の教材、どうやら公文式の教材らしい(番組でそう言ってはいないが、壁に公文式の標語が貼ってあったりする)。
 少子化の進むこの先、しっかり生き残る道を見いだしたみたいだね、公文さん。
 
 
2007年3月5日月曜日