忘れ難きドラマ
 
 放送終了からずいぶん経っているのに、どうにも印象が強烈で、忘れるに忘れられないドラマってのがあるんですね、たまには。
 
 ご覧になりましたか、NHKドラマ『ハゲタカ』
 テレビドラマでここまで迫力と緊張感と役者の魅力に圧倒されて引き込まれてしまったのは、果たしていつ以来か。
 ひとことで言ってしまえば、経済ドラマ。なんですが、通り一遍の経済知識を詰め込んだ“経済早分かりドラマ”みたいなもんじゃあありません。勿論、外資系ファンドによる企業買収の仕組みや戦略について、非常に分かりやすく知ることが出来るけれど、もっと重要なのは、買収する企業、買収される企業、買収によって翻弄される人々の思惑や駆け引きや倫理や人生やなんやらが複雑に絡み合い、緊迫した物語を紡ぎ出していること。
 
 ストーリーをまたひとことで紹介してしまうと、「バブルに翻弄されて挫折した主人公が、疲弊した日本企業を買い漁る“ハゲタカ”ファンドの急先鋒となって日本に戻ってくる」お話。
 企業買収を図る外資ファンドと、それを阻止せんとする企業や銀行の、恐るべき攻防というか権謀術数。そして、それぞれの側の登場人物に、重い苦悩がのしかかっている。ふだん経済ドラマになんか興味のない俺やツマも固唾を呑んで画面を凝視してしまった。
 
 なにしろ、役者がすばらしい。
 主演の大森南朋。この人って、“なんか人の良い家庭人ぽい脇役”ってイメージしかなかったんだけど、こんなに凄みのある演技が出来るのですね。
 対するはご存知柴田恭兵。癌の治療後だったそうだが、企業の論理と自らのアイデンティティの間で悩む役どころが本当に格好いい。
 他にも松田龍平、栗山“ゴーゴー夕張”千明、菅原分太など、主演クラスからほんの脇役に至まで、存在感ありまくりの役者さん勢揃い。そうそう、最近はバラエティ番組でばかり見る気がする中尾彬の演技の凄み、久しぶりに魅せてもらいました。
 
 こんな超良質のドラマを作ってくれるなら、NHKに受信料を払うのも惜しくないぞ。視聴率は低調だったそうだが、ウェブサイトへの反響は絶大だったそうだ。がんばれNHK。
 このドラマ、大反響を受けてDVDも発売になるし、6月にはBSハイビジョンでの再放送も決定したそうだ。
 まだこの感動を味わっていない人は、ぜひ。
 
 
2007年4月16日月曜日