経済教育「に」啓く
いまなぜ、金融教育(学習)なのか。当然だという方も、怪訝に思われる方もおられることだろう。
長い不況の中で、いや不況であるからこそ、未曾有の金融経済環境の変化が起きている。今の子ども達は、80年代の「バブル」という喧噪、「高度経済成長」という、拡大を続けた右肩上がり経済を知らない。生まれたときから、不況の中にいたのだ。
しかしながら一方では、ITをはじめとしたテクノロージーの発展の中で、その豊かな暮らしをまた当たり前として生きてきている。
豊かさの中で急速に変化する金融経済社会に、子ども達は適応しなくてはならない。
金融を巡る情勢は深刻だ。消費者金融、クレジットカードなどによる個人破産者は、米国の百六十万人ほどではないとしても、日本で既に20万人に及んでいる。多重債務者は200万人といわれている。
一方、銀行が倒産した場合には、預金の全額保障はなくなった。高齢者の金融商品をめぐるトラブルなども絶えない。低金利時代ゆえの有効な投資先を巡って発生している問題だともいえる。
はたまた、年金の未払いによる破綻が懸念されたり、401K(確定拠出型年金)などの創設による年金制度の変化も起こっている。外国為替証拠金取引、インターネットによるe
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トレードなど、新たな金融商品や金融取引が日々沸き起こってもいる。年功序列型賃金制度、終身雇用制度が見直され、裁量労働制が導入されるなど、労働環境も劇的な変化を遂げた。
さらに、ニートとよぶ若者たちの出現。これには、若者自身の問題というより、これらを生み出す背景となる社会経済環境の問題があることも忘れてはならない。
われわれは、こうした金融環境、経済環境にどのように対処したらよいのだろうか。今後の金融経済社会に乗り出さなくてはならない子どもたちに、どのように、支援していくべきなのだろうか?
センター長 猪瀬武則
弘前大学教育学部附属
経済教育センター