瘀血証体質
「瘀血」とは?
「瘀血」とは「オケツ」と読み、漢方医学の特有な概念で、体内・毛細血管内に
滞留している、機能を失った血液である。「瘀血」とは血液としての機能を失っいる
だけではなく、人体にとって有害で、いろいろな障害をあたえる毒素である。
できるだけ早く体外に排泄すべきものである。
別名は古血、悪血、血滞、血鬱、汚血、蓄血、血毒、死血とも言い、
強い毒素である。
「瘀血」の成因
「瘀血」はいろいろな原因で発生する。
1、特に女性は生理・出産の時に生成されるため、量の多少の問題だけで、体内に
「瘀血」を蓄積している。
2、打撲・外傷・手術等でできる「瘀血」、遺伝的・体質的な「瘀血」、
他の病気から発生する「瘀血」もあり、男女問わず発生する。
「瘀血証体質」
体内に「瘀血」をため込んでいる人を一貫堂では「瘀血証体質」と言う。
女性はほとんどの人が体内に「瘀血」をため込んでいるため、多少の問題だけで
「瘀血証体質」である。
そのため女性の病気はほとんどが「瘀血」が関係をしている。
「瘀血証体質」とはどんな人?
1、顔が赤くなる事が多い。(黒ずんだ赤い色である。)色素沈着・シミがある事が
多い。
2、肥満しやすくなる。
3、爪の色が暗赤色である。
舌の色が暗赤色、紫色、あるいは暗赤色の斑点がある。
舌の裏側の静脈の色が濃くかつ太い。
4、「瘀血」は血の流れを阻害するため下記の様な症状がある。
頭痛・頭重・めまい・ほてり・冷えのぼせ・肩こり・動悸・便秘・生理異常
疼痛・しびれ・出血・血腫・うっ血・血管拡張・色素沈着・精神不安・等
「瘀血証体質」の人ははどんな病気になりやすいのか?
「瘀血」は血流を阻害し、炎症を発生させ、精神を不安定にさせるため下記のよう
な多様な病気に関係している。
1,女性の病気(「瘀血」を排泄しなければ改善しない。)
生理の異常(生理不順、無月経、生理痛、生理過多、生理前期症候群、等)
不妊症、産後の諸症状、不正出血、おりもの、慢性膀胱炎、痔
子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、女性生殖器疾患
更年期障害、精神不安、神経症、のぼせ、頭痛、肩凝り、動悸
肌荒れ、ニキビ、シミ、主婦湿疹、シモヤケ、アカギレ
2,各種慢性病(慢性病はほとんど「瘀血」と関係している。)
脳溢血、脳血栓、麻痺、高血圧、動脈硬化、心臓病、
肝臓病、痔疾、前立腺肥大
神経性疾患、自律神経失調症
神経痛、関節痛、腰痛、リウマチ、
難治性疾患(膠原病、潰瘍性大腸炎、癌、等)
3,外因性の「瘀血」
打撲傷・捻挫・骨折・外傷の後遺症、手術の後遺症、交通事故の後遺症、等
「瘀血証体質の処方」(特に通導散)を服用すると苦痛が驚くほど早く改善し、
後に症状が残らない。
通導散 「万病回春・折傷門」 龔延賢《きょうていけん》・明
(成分)当帰、蘇木、紅花、木通、陳皮、厚朴、枳実、甘草、大黄、芒硝
A.蘇木、紅花・・・「瘀血」を強力に除く(うっ血、内出血、血腫、腫脹、腫瘤)
B.当帰・・・血管を拡張して血行をよくして「瘀血」の吸収を助ける
C.大黄、枳実、厚朴、芒硝・・・瀉下作用により「瘀血の」排除を助ける
D.枳実、厚朴、陳皮・・・腸管の蠕動を調節してガスを排出し、腹部膨満、腹痛を治す
E.木通・・・利水
F.甘草・・・緩和作用
原典では打撲傷の処方であるが、一貫堂では「瘀血」の排泄の基本処方として
用いる。厚朴、枳実、大黄、芒硝が含まれるため瀉下作用が強く、「瘀血」の
排泄作用も強い、しかし使用法に注意が必要である。
(参考)
○蘇木、紅花は効能が似ており、活血通経・消瘀止痛に働き、婦科調経、傷科止痛の
常用薬であり、少用で和血し多用で破血する。紅花は温性で催生堕胎に働き、
蘇木は偏凉で祛風和血に働く。
○大黄(神農本草経)
「瘀血」、血閉の寒熱を下し、「ちょうか」、「しゃくじゅ」、溜飲、宿食を
破り、腸胃を「とうでき」し、「ふる」きを「お」し
新しきに至らしめ、水穀を通利し、中を調え、食を化し、五臓を安和す。
○通導散『万病回春』折傷門
跌撲、損傷、極めて重く、大小便通ぜず、乃ち瘀血散ぜず。肚腹膨脹し、
心腹を上り攻め、悶乱して、死に至らんとする者を治す。
先ず此の薬を服して、死血、「瘀血」を打ち下し、
然して後に方に損を補う薬を服すべし。酒飲を用うべからず、癒通ぜず。
亦、人の虚実を 量って用う。
大黄、芒硝、枳殻、厚朴、当帰、陳皮、木通、紅花、蘇木、甘草
右きざみ一剤。水煎して熱服す。利するを以て度となす。
惟だ孕婦、小児は服すことなかれ。
芎帰調血飲 「万病回春・産後門」 龔延賢《きょうていけん》・明
当帰、川芎、熟地黄、白朮、茯苓、陳皮、烏薬、香付子、乾姜、牡丹皮、益母草、
大棗、甘草、(生姜)
(万病回春)
「産後の一切の諸疾、気血虚損、脾胃怯弱、或は悪露行らず、或は血去ること過多、
或は飲食節を失し、或は怒気相衝《つ》き、もって発熱悪寒を致し、
自汗口乾心煩喘急、心腹疼痛、脇腹脹満、頭暈眼花、耳鳴、口噤《とじ》て
語らず、昏憒《こんかい》等の症を治す。
(構成)(補血、理気健脾、活血化瘀)
A.川芎、当帰、熟地黄・・・血の働きを改善
B.牡丹皮、益母草・・・「お血」を取り除く
C当帰、川芎、乾姜、生姜・・・体の表裏を温め血行を良くする(温薬)
D.烏薬、香付子・・・気をめぐらし、痛みを止める
E.烏薬、香付子、陳皮・・・心身の不調を治す
F.白朮、茯苓・・・胃腸内、体の水滞を取り除く
J.甘草、大棗、生姜・・・滋養強壮作用
原典では産後病の処方である。産後の女性の体力を回復させ、体を温め、浮腫を取り「瘀血」を排泄させる。
一貫堂では「芎帰調血飲第一加減」より胃腸等が虚弱の人に用いる。
芎帰調血飲第一加減 一貫堂 森道伯
当帰、川芎、芍薬、地黄、白朮、茯苓、陳皮、烏薬、香付子、乾姜、牡丹皮、
益母草、大棗、甘草、桃仁、紅花、牛膝、枳実、木香、延胡索、桂皮、(生姜)
(万病回春)芎帰調血飲「万病回春」の三番目の加減
「産後、悪露尽きず、胸腹飽悶、疼痛し、或いは腹中に塊あって、悪寒発熱するは、
悪血あり。本方に依って桃仁、紅花、肉桂、牛膝、枳殻、木香、延胡索、童便、姜汁
少し許り加え、熟地黄を去る。
(構成)(活血化瘀、理気止痛、補血健脾)
A.川芎、当帰、芍薬、地黄・・・ 血の働きを改善 (四物湯)
B.牡丹皮、益母草、桃仁、紅花、牛膝・・・「瘀血」を取り除く
C.当帰、川芎、桂皮、乾姜、生姜・・・体の表裏を温め血行を良くする。(温薬)
D.烏薬、香付子、延胡索、木香、枳実・・・ 気をめぐらし、痛みを止める
E.烏薬、香付子、陳皮、木香、枳実・・・心身の不調を治す
F.白朮、茯苓・・・胃腸内、体の水滞を取り除く
J.甘草、大棗、生姜・・・ 滋養強壮作用
芎帰調血飲第一加減= 芎帰調血飲 - 熟地黄
+(地黄、芍薬、桃仁、紅花、牛膝、枳実、木香、延胡索、桂皮)
産後の「瘀血」が多くなかなか下りない時の加減方である。
一貫堂では通導散が適さない胃腸が弱い人で、比較的に「瘀血」の多い人に使用。