Wedding
 
結婚という名の展覧会  
 
自分の結婚を機に、個人的につながりのある37人のアーティストや写真家に「結婚」というテーマで作品を制作してもらい、ギャラリーを一週間借りて展示した。最終日には、ギャラリーでささやかに僕ら2人の結婚パーティーも行わせてもらった。
 
当時はアメリカがイラクへの侵攻を始めるなど不穏なニュースが続いていたので、自身の結婚をきっかけにちょっとでもハッピーなニュースを作りたいと思ったのが始まりだった。
 
そして僕ら自身、人と人のつながりの編み目の一点であるということへの感謝の気持ち。そんな人と人のつながりの偶然性を、展覧会という形で表現してみたかった。大変だったけど、おかげでとてもハッピーな展覧会になりました。参加してくれたみんな、ありがとう。
 
Space Force, Tokyo, 2003 
新郎+企画+プロデュース
 
 
h.o
h.oの小川くんと知り会ったのは彼らがフィリップモリス展でNYに来ていたときで、お金に困っていた僕がバイトで彼らの通訳をしたのがきっかけだ。展示してくれた作品は、片方のライトに触れるとネット回線を通じて、離れたところのもう一つのランプが点いたり消えたりする。遠距離恋愛を長くしていた僕は、そんな小川君のロマンチックな側面に敏感に反応してしまう。
 
 
 
馬場正尊  MASATAKA BABA
元は会社の同期入社の彼とは数年後に当時住んでいた中目黒のそばのコンビニで再会。その後、彼が編集長を務めた季刊誌[A]ではずいぶん一緒に仕事をさせてもらった。今回の作品にある、一つの家の下で二つのグラスに離れて生活する二匹の闘魚(ベタ)は、学生結婚・離婚を経て最近元の鞘に収まった彼の考える、夫婦の適切な距離感だという。パーティ当日に片方のベタが死んでしまっていたのはご愛嬌。
 
 
 
タムラサトル  SATORU TAMURA
02年のフィリップモリスの展示で、ガンダムプラモ(ザク)が一瞬にしてゴルフクラブで破壊されるのがループするビデオ作品を見て、その徹底的な無意味さと暴力性にファンになった。今回の展示作品は、ハンズで買った新郎新婦の置物に穴を空けまくって百分の一グラム単位までキリのいい重さにした、別シリーズの新作。作品に余計な意味がはりつくのを嫌う彼だけど、「結婚」への世間的な甘ったるいイメージを徹底的に無意味化するかに見えて気持ちいい。
 
 
 
林憲明  NORIAKI HAYASHI
NYでのフィリップモリスの展示で、星空をモチーフにしたペインティングを見て僕はノックアウトされた。自身の内面にある風景をミニマルな筆致で描き続ける彼の「パーフェクトワールド」シリーズは、僕の中で村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と呼応する。そして今回の、ビルの谷間から見上げた空に二つの星が輝く新作は、僕が仕事の合間に夢想した風景と呼応していた。
 
 
 
伊藤昌平  SHOHEI ITO
彼と出会ったのは、NYのセントマークスにあるスターバックス(カフェのある方)。お茶をしていた僕ら二人に彼が時間を聞いてきたのがきっかけだ。時計を持っていなかった僕ら二人と同じく彼もしばらく後に東京に戻り、今は割と近所に暮らしている。「接点」と題された今回の作品でも、僕らの出会ったNYと様々なイメージが何気なくつながっている。
 
 
 
秋山さやか  SAYAKA AKIYAMA
秋山さんは世界各国いろんな場所を歩く。その歩いた結果が、作品になる。他の人にはなんでもないところでも、彼女が歩くと何かが起こるらしい。楽しいことであれ、ちょっと不幸なことであれ。今回の展示のために春のある晴れた一日、あゆみと3人でうちの近所を散歩をした。不思議に発見の多い散歩だった。そして、それは素敵な作品になった。
 
 
 
クサナギ シンペイ  KUSANAGI SHINPEI
02年のフィリップモリスの展示で知り合ったクサナギくんはシャイでクールな皮肉屋だ。彼の絵はこのごろどんどん抽象度が増している。今回の作品も感覚的に好きだけどそれをうまく言葉で表すことができない。ましてや、結婚というテーマにどう結びつくのかは同じくシャイな僕には聞くことができない。
 
 
 
TATTAKA
僕が経堂でばあちゃんと一緒に暮らしていたころに、近所に面白い展示をするギャラリー&カフェ(appel)が出現した。そこのディレクターであり、自身作家である高橋さん。今回の展示をお願いした時いろんな面白いアイデアが出してくれた中で、最終的に展示したのは、鏡の脇に好きな人の写真を挟んだりする手法でドローイングや写真、歌を歌うテープなどが一緒になった作品。
 
 
 
KIMOKO
NYの国際写真センターの地下にあったグループ暗室で僕がよくプリントしていたころ、お互いの実家の話になり、守田さんを含めた3人が大井町、大森、蒲田と同じ電車の隣駅同士だったと知った時は本当に驚いた。ヌードのポートレートのシリーズは彼女のNY時代の作品。
 
 
 
中根静二  SEIJI NAKANE
183センチの僕が見上げる数少ない日本人であるセイジさんとは、彼がすでにNYに住んで7、8年は経っているころに出会った。当時から彼は、時々照明の仕事をしながら山に登り、写真を撮り続けている。もともとモノクロのプリントのうまさではすごかった彼が今回の作品で化けた、と僕は確信している。
 
 
 
林亮  TOHRU HAYASHI
NYで個展をやっていた彼に話しかけたのが始まり。架空の旅行代理店という設定で世界各地の場所を抽象的にビジュアル化するシリーズの他に、彼は小さい画用紙に木をモチーフにした独自の言語による詩のようなドローイングを毎日描いている。今回はその手法で彼の考える結婚によって開かれる世界を曼陀羅風に描いてもらった。
 
 
 
高木俊幸  NOJYO
NOJYOこと高木俊之には、NYで写真家をする秋田くんを通じて紹介された。展覧会の案内状にも使わせてもらったこの写真は、僕の自宅の居間をスタジオ化して深夜といっていい時刻に撮影された。有り合わせの布で急遽つくったベール、コンビニに買いに走った花束、そして「周りも入れた方が面白いね」という彼の一言で生まれた写真。咄嗟の判断で現場のヴァイブを定着させる彼らしい作品だと思う。
 
 
 
鈴木康広  SUZUKI YASUHIRO
02年のフィリップモリスの展示で隣合わせだった鈴木くん。結婚というテーマにいちばん困惑していたのは若い彼だった。展示されたのは、こちらを見つめる彼自身が時々機械仕掛けでまばたきをする作品。ぼーっとしている見過ごしてしまう。そう、すべての出会いも結婚も二人のまばたきの間の一瞬の視線の交錯から生まれるのだ。どこかのオープニングパーティーでの一夜のように。
 
 
 
O/OSS
伊藤、松岡さんと僕とあゆみの間にはいくつかの共通点がある。お互いにファッションとアート畑のコンビということ、伊藤さんがあゆみとNYの同じ大学の出身であること、伊藤さんの元職場であゆみが今働いていること。でも、何より似ているのはきっと、お互いうまくバランスがとれていることだと思う。ちょうどこの作品のように。
 
 
 
清水寛子  HIROKO SHIMIZU
清水さんと知り合ったのも彼女がフィリップモリスの展示で来ていたNYだ。彼女は様々なオリジナルキャラクターによるアニメーションを壁の穴やランプの下のノートの上、あるいは今回の展示のように家の模型の窓に映し出している。
 
 
 
TREVOR MORGAN
NYU時代のクラスメート。シミュレーションをテーマに、本物そっくりな暖炉をいろんな場所に持ち運んでそれぞれの場所でドキュメントを続けている。そして暖炉といえばやはり団らん、家庭の中心なのです。
 
 
pamplet, logo design:佐野研二郎
 
PENELOPE UMBRICO
NYU時代の教授。今回の展覧会も元はといえば、彼女の家を訪ねた時に僕が近く結婚するつもりだと言ったのを聞いて、一家で日本に行くといってくれたのが始まりだ。しかもちょうどその時、彼女は結婚パンフに載る写真をサンプリングした水平線のシリーズをつくっていた。そして僕は、せっかくなら作品とともに日本に来てもらおうと思ったのだ。
 
 
ALLEN FRAME
ICPで今プログラムディレクターをやっているアラン・フレームに直接教えられたことはないものの、彼の教え方がいいというのは周りの友人から聞いていて、卒業後しばらくして知り合った。去年の秋にICPで行われた過去の卒業生による展覧会を企画してくれたのも彼。今回出品してくれたのは、ロシアで結婚するカップルの写真。
 
 
 
岩井主税  CHIKARA IWAI
02年フィリップモリス展で知り合った岩井くんとはその年、無重力スポーツの映像制作で一緒に仕事をした。今回の新作は当日初めて見たもの。
 
 
鈴木ヒラク  HIRAKU SUZUKI
岩井くんと一緒にWORD PUBLICというユニットを組んでいるヒラク。路上科学者。
 
Nao Sakamoto
ブルックリンの自主運営ギャラリーとしては老舗のCAVEで出会ったナオさん。スキンヘッドのイカツイ外見とは裏腹に文学と哲学にはまる穏やかな男。
 
 
 
秋田耕二  KOJI AKITA
大阪からほぼ同じ時期にNYに渡ってきた耕二とその妻のさやには、NYにいる間中お世話になりっぱなしだった。というのは彼らのアパートが暗室のそばで、いつもプリント作業後に突然訪れて夕食をごちそうになっていたからだ。いつもモノクロのやわらかいトーンで端正な作品をつくる彼が今回のために送ってくれたのは、珍しくカラーで身の回りを撮った作品だった。
 
 
JED ELA
元ルームメートのひとりで隣の部屋だったジェッドは、NY時代おそらく一番長い時間を過ごしている。技術的な完全主義者の彼には何かを作るときによく相談に乗ってもらったし、実際につくってもらったりもした。今回のトイレットペーパーは彼がパッケージをつくって以前、NYのギャラリーを天井まで埋め尽くしたもの。アメリカから段ボール一箱分持って来た時に税関でX線を通して中身を見た空港の係の人が不思議そうにしていたという。
 
 
元クラスメートであり、ルームメート。テキストを使った作品をつくりつづけている彼とは在学中に二人で展示をしたほか、NYにいる友人の中でも最も親しい友人のひとり。「もし自分が幸せだったら、こんなものを作っている時間はないだろう」というのを色鉛筆で時間をかけて書いた作品を送ってくれた。
 
 
 
HeirakuG
あゆみも一時働いていた2dkでアートジャングルのスタッッフとして働いていた彼は今、九州にベースをおいて勢力的にライブ活動中。ライブをやってくれたパーティ−の日もそのまま渋谷でのライブに出かけた。
 
 
TREVOR MORGAN
NYU時代のクラスメート。シミュレーションをテーマに、本物そっくりな暖炉をいろんな場所に持ち運んでそれぞれの場所でドキュメントを続けている。そして暖炉といえばやはり団らん、家庭の中心なのです。
 
 
 
JIRO NISHIYAMA
NYでの悪友。
 
Satoshi O
h.oの音担当メンバーであるサトシには無重力スポーツの時にもDJの一人としてお願いした。
 
 
高田洋三  YOZO TAKADA
まだ知り合ったばかりの写真家、高田洋三。彼自身が作ったフラジャイル(弱々しい、繊細な)2機の微妙に違う行機は、まさにこれから一緒に飛び立とうとしている夫婦そのものに重なって見えた。
 
 
守田衣利 ERI MORITA
ICPの集団暗室でよく一緒にプリントしていた。暗室ではそれぞれがプリントしている写真が見えるので、彼女の
 
板垣由夫 YOSHIO ITAGAKI
NY大学の先輩にあたる板垣さんには、彼のシリーズの中から新作をお願いした。
 
 
小林紀晴  KISEI KOBAYASHI
小林さんがNYに滞在していた時にりささんに紹介された。自分の作品集をもってきていなかった小林さんに僕がもっていた「東京装置」を貸したのは奇妙な体験だった。
 
 
山出淳也  JUNYA YAMAIDE
今、パリにいる山出さんがPS1のレジデンシーでNYにいたころ、よくバイトの帰りに晩ご飯をごちそうになった。年はほとんど変わらないのに暦が違う。
 
 
長広恵美子  NAGAHIRO EMIKO
去年の東京デザイナーズブロックで出展していた中でICP卒業という名前を見て見に行ったのが最初だった。その後エリちゃんがかえったときに紹介された。
 
 
大脇崇  OWAKI TAKASHI
ICPでの同期。今度ルームメートになることになった。各国で撮影したカップルの写真は今回のテーマにはぴったりだった。
 
 
ハシモトミカ MIKA HASHIMOTO
ミカさんとは林さんらを通じて出会った。僕ら2人の写真を使ってアニメーションを制作してくれた。
 
 
さとうりさ  RISA SATO
知り合ったのはやはりNYでのPMの展示の時。彼女はこのときこのサトゴシカンを数台展示していた。ほとんどりささんのセルフポートレートのようにも感じる。
 
 
 
 
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