Incantation of Silver

 
 

 いつも回りに写真を撮る人がいる。

 小学校のころだった、隣に住む叔父が地下室に穴を開け暗室を作った。そこで高校生だった兄に現像やプリントの方法を教えた。私はフェロ掛けの手伝いをしたことを憶えている。

 高校生になり、私はイギリスに留学することになった。

 兄は何も言わずに Pentax を私に持たせてくれた。    

 夏休みの2ヶ月間、ヒッチハイクでイギリス中放浪した。写真に関してほとんど何も知らないままシャッターを切っていたのだが、フイルムを買う金がなくなり Pentax はリュックの底にナムルことになった。 そして、気が付くとそれは消失していた。

 10年後、どうしてもその旅の1週間分の記憶が無いことが気になり、再度渡航した。

 フィルムを山ほど持ち、当時愛用していた Minolta CLE を携えての撮影旅行でもあった。

 当時の日記を頼りに、同じ行程で、Brightn - London - Edinburgh - Shetland - Sheffield - Liverpool を巡り歩いたが、消失した1週間は戻ってこなかった。

 喫茶店を経営していた頃、随分沢山の写真家達と交流を持った。ひたすら撮影をする者、カメラ自体に没頭する者、現像科学に埋没する者、不思議な毎日が続いた。

 しかし、私はどれにも同化できず、寄り切れず、離れることもないまま模索するだけであった。

 私は揺れながら動かず、漂いながら沈むことも出来ないでいた。

 そして、いつの間にか【写真集団北限】の中にいた。

 今も「私にとって写真とは何か?」と考えている。

 答えはないだろう。

 写真を撮り続け、自問すること自体が答えなのかも知れない。  

 銀の呪文を唱えつつ・・・

 

あの頃も写真を撮っていた

Wall Cat

Minolta CLE  28mm


随分昔の写真。パリをブラブラしている時に撮影した。石壁のコントラストを写そうとしたのか、歩いている猫を写そうとしたのか、今では憶えていない・・・

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